趣味で絵を描く趣味で絵を描く

画家の指導は受けましたが、全くプロフェシッショナルではない楽々アート会会員の私が、絵画初心者のために蘊蓄を語ります。趣味で絵を描く仲間のサークル楽々アート会のページでは、会員募集中~我々が描いた絵画作品のギャラリーもあります。

1. 絵を描く

絵を描くことは何かを表現することです。本来は自由で構わないのですが、初心者が基本として先ず心がけることは、描くべき対象物を精細に観察して正しく表現する技術を身につけること…日々の努力なのですよ。
紙と鉛筆を用意すればできることです。比率と角度を測って描き、納得のゆくまで何度も検証し修正する…自分の思い込みがあるかもしれないので他人に検証をして貰うのも一つの手かもしれません。
他の人に見て貰う場合は目線を自分が描いた時と同じにして貰う(同じ位置から見て貰う)こと。

趣味で絵を描く(デッサン)

鉛筆はカッターで削ります。削る部分を大きめに、芯の部分も長く伸ばします(上図参照)。この鉛筆で対象物の位置(距離)や角度を測ります。距離は、対象物のこの距離が鉛筆のこれくらいだから、ここからここまでは1、2と半分(2.5倍)の距離だな…など。前後に動かすと長さが変わるので対象物からの距離は一定に。角度も対象物の角度に鉛筆を添わせ、その角度で用紙に線を描きます。

対象物を描く大きさ、位置(空白部分の比率)も考えましょう。上に描きすぎると対象物が浮いたように見えてしまいます。対象(静物)が複数ある場合、置く位置を△(三角)に配置すると安定するようです。
デザインの世界ではプレグナンツの法則(ゲシュタルト原理)と言われるものがあります。何かを効果的に表現するときの心理学的?な考え方というか…これらの法則やら黄金比(バランスが良いとされる比率)などは、ものづくり初心者の手助けになるのではないかと思います。

鉛筆デッサンの陰影は、鉛筆を寝かして塗るのではなく、鉛筆を立てて描きます。↓のような感じのハッチを作って影の部分に適用してゆく感じです。

趣味で絵を描く(デッサン)

鉛筆を寝かせて描いても良いのでは?…はい僕は構いません。実際、鉛筆の粉を指で擦ってグラデーションを付けたりすると趣味で絵を描いたりしない一般の方には上手に見えるでしょう。でも簡単お手軽な“ぼかし”などという文明の利器?を使わないやり方がデッサンの基本である…ということです。絵を写真に近づける技法としては多少の意味があるかもだが、写真を写真のようにコピーする(完成形が写真になる)ことにアートとしては大した意味がないのではないでしょうか…と思います。技術とはやりたいことを実現する為に必要なもので技術そのものの為にあるものではないからです。人は精密な絵に感心するかもですが、思うにそれは時間と根気の問題であり、独自の工夫をしない限りは個性や閃きには関係ありません…知らんけど。絵画は大きさに応じ少し離れて鑑賞するものですから離れた時の見え方を考えた絵の技法の修行?にもなるかと。模写も然り……ゴッホの歌川広重は単なる模写とは呼べませんが(名画です…勿論、元絵の贋作?ではない)。

紙と鉛筆があれば…と書きましたが、本格的に描くなら良質の紙を使用します。お勧めは“モンバルキャンソン水彩紙スケッチブック”~僕はデッサンの練習、油絵の下書き用にF6のものを購入しました…高価いかもですが描き易い紙だと思います。ちょいとスケッチするくらいなら、そこまで用紙にこだわる必要はないと思いますが、初心者こそ良い道具(弘法なら筆を選ばないですが)を使うべきです。水彩画にするなら、やりたいことをやり易くするためにも紙質は重要ですよ~表現したいものを表現する手法?のために。

彩色する場合もデッサンと同じく、しっかりと対象を観察することが大事です。例えば風景を見れば、光の当たっているところ、影の部分では色が異なっていることがわかるはず。
光を受けた黒い瓦屋根よりも陰になった白壁の方が黒いこともあるのです。
その色は?…黄色と青色を混ぜたら緑色ですが単に2色の配分でも無数の緑色(やら緑要素のある黄色やら)が生まれます。より黄色の要素が感じられる部分、影で黒っぽくなっている部分…うむ、ウルトラマリンディープを少し加えるか?…そんな試行錯誤の繰り返しで欲しい色を作ります。
いつも見ているからといって知った気にならないこと。木々は緑、海は青、影は黒?…じゃない部分を観察によって受け止めて表現することで随分良い絵になると思います。逆にそんな絵を描く子供は艶歌を熱唱する子供のように違和感があります(ある意味凄いですが)。子供にとっては、遠近感のない・対象がすべて正面を向いた・陰でも色の変化がない絵、が子供らしい(大人が描けない?)良い絵ともいえます。

2. 油絵を描く準備

紙と鉛筆ではない道具が必要です。画材屋さん(きょうび[いまどき]ネットでも売ってるか…)で購入しましょう。
僕は習った先生のこだわり(つまらない絵にしない)で油絵の具はホルベインの基本12色と特殊な数色しか使用しません。
殆どの絵は黒を除いた11色で描いています。12色セットのバーミリオンとビリジャンはヒュー(代替品)なので、ヒューでないものを使用しています。あとイエローライトとグリーンペールは名称の頭にカドミウムのついたものの発色が良いようです。
殆ど使わない(がないと困ることがある)特殊な数色は、ライトレッドとチャイニーズレッドです。

※チャイニーズレッドはホルベインの2015年リニューアルで廃盤になり代替色はピロールレッドとされていますが、まだ試しておりません。

趣味で絵を描く(絵の具)

ジョーンブリアンは絶対に使いません。バーミリオンとイエローオーカーで作ってみましょう。…基本、絵の具は混色して塗ります。塗りたい色の絵の具を買って塗るものではありません。既に(何を混ぜているか不明な)混色で作られている絵の具に対して更に混色すると色がぼやけます。絵の具には透明色(ビリジャンなど)や半透明、不透明色があり、透明色(バックが透けやすい)は混色に使用してもぼやけないといわれます。頻繁に混色する色ではありますが「白」を混ぜると色はぼやけます。逆にぼやかしたい場合は白を混ぜるとぼやける、ともいえます。
黒[アイボリーブラック]も今のところ使ったことはありません。黒い瓦屋根も白くなることがある…実際、自然のどこに真っ黒なものや真っ白なものがあるのでしょうか?…黒(のような色)はウルトラマリンディープとバーントアンバーやらで作ります。色の三原色的?には混色すると黒くなるともいえます。
筆は豚毛のフィルバートって型で描いています。縦にすれば細く、横にすれば太く描ける優れものです。2,4,6,8,12号を2~3本揃えておけばよいでしょう。中里ってメーカーのものがお勧めです。

趣味で絵を描く(絵筆)

後は、溶き油…ルソルバンで描いてます。筆洗い液はこだわりません。
パレット、ペンチングナイフ、油壷…木箱入りのセットで近いものが揃えばグッドです。僕もセットに入っていたヒューの絵の具は使い切りましたし、ペンチングオイル(溶き油)も使いました。
…結構もの入りですね。下絵用の画用木炭とフィキサチフ[固定剤]、ルツーセ[修正用ワニス]、F6のキャンバス(2枚をクリップで止めています)、キャンバスを立てるイーゼル、それらが収まる頑丈な鞄があればOKです。

[必要なもの] 木箱入りのセット(1. 油絵の具、2. パレット、3. 溶き油、4. 筆洗い液、5. 油壷、6. ペンチングナイフ)、7. 筆、8. 木炭、9. フィキサチフ、10.ルツーセ、11.キャンバス、12.キャンバスクリップ、13.イーゼル、14.(1~13が入る)バッグ


■ 記事一覧

絵画の一歩絵画初心者のために蘊蓄を語るページ
1. 絵を描く
2. 油絵を描く準備
3. 油絵を描く(1)[下絵を描く]
4. 油絵を描く(2)[下塗りをする]
5. 油絵を描く(3)[中塗りをする]